事例-1
桜島は元々は島であったのですが、大正3年1月に桜島が突如大噴火して溶岩、火山灰が噴き出てなんと、大隅半島と桜島が陸続きになったのです。その後も、度々噴火を繰り返しています。そして、自治体で使われているあの家紋。意外と知られていないのですが、よく見られているデザインです。
雄大な桜島も、この地を治めていた殿様の家紋も、シンボルなのか?そして調和するコピーガードとは?
桜島も島津家の家紋もシンボルなのか?
この島は何といっても落ち着いていて、威厳があり、噴煙を上げる姿が雄大な佇まいを醸し出している。この桜島も鹿児島のシンボルである。もう一つ見逃してはならないことがあります。この地域の歴史を紐解けば島津家は、鎌倉時代から江戸時代まで続き、長きに渡り薩摩、大隅を治めていたわけです。このことは、歴史上他の地域にはありえないことだと言われています。
そしてこの島津家の家紋が丸に十の字⨁なのです。この家紋も薩摩を象徴するものであり、シンボルなのです。
4つのコピーガードの技法をあまねく備えた用紙とは
まずはじめに、自治体の名称をひらがなで、しかも白抜き文字の地紋で描く、その中に「複写」という文字を隠してあります。カラーコピーすると「複写」の文字が浮かび上がってくる。そして白抜き文字が消える。これがコピーガードです。
次に決定的な技法に、桜島のピンクの色を3秒間ギュッと押さえて離せばピンクが数秒間消え、その後にまた元に戻るという現象。これは肉眼で真偽が判断できる技術です。カラーコピーでは同じ現象は起きません。これもコピーガードで示温インキを使っています。
その次に、透かしという技法ですが、この用紙を蛍光灯に向けてかざすと丸に十の字、島津家の家紋が浮かんできます。カラーコピーでは家紋は出ません。これもコピーガードです。
最後に補足的技法としてマイクロ文字という手法があり、用紙の四角に1/4ミリの大きさの英文字で、KAGOSHIMA KAGOSHIMA … と繰り返し並べてあって、カラーコピーすると文字が潰れて線のように見える。これもまた然り。
おはら節に出てくる桜島と丸に十の字の家紋
そろそろ「まとめ」と言っても何だけれど、ある民謡「鹿児島 おはら節」の中に出てくる歌詞の一番目に、
花は霧島 煙草は国分
燃えて上がるは オハラハー 桜島 ( ハ ヨイヨイ ヨイヤサ )
三番目に、
見えた見えたよ 松原越しに 丸に十の字の オハラハー 帆が見えた( ハ ヨイヨイ ヨイヤサ )
県民、なかんずく鹿児島市民には体の中にこの歌詞が染み込んでいるように思います。毎年、年中行事で11月初旬に「おはら祭」が行われ、その歌詞の中に煙というか火山灰が燃えて上がる「桜島」と、丸に十の字とは⨁で島津氏の家紋であります。何と歌の中に郷土のシンボルが二つも入っているのです。言われてみれば、そうかと思うほどやはり市民には、DNAが刻まれているのです。
また、コピーガードとして桜島には示温インキを使い、家紋には透かしを使い、このシンボルマークである桜島と家紋をコピーガードで調和しているのです。全体的には隠し文字「複写」という文字を埋め込んでいる。そして、英文字の「KAGOSHIMA」のマイクロ文字を並べてコピーガードに使っています。
ところで、今まで述べてきた話は、自治体で現在使われている偽造防止用紙 A4サイズの中味を事細かく説明をさせてもらいました。ただ、歴史的背景や風景を語ったわけではなく、ちょっと飛躍するのですが、ある大手の観光業者社長が言っていた「マイクロツーリズム」がアフターコロナの時期に始まる。つまり、すぐにインバウンドは戻ってこないが、その地域の人たちが20~30㎞ 圏内に小旅行を始めて地域を再発見して、地元の人たちが日帰り旅行をして楽しむ。それには、今まで海外の人たちが、ずいぶん日本の各地の良さを知らしめてくれたので、いろんな良さを今度は、地元の人たちが楽しめる時期に来ると思います。
そこで自治体の市民課で主に事務的に使用されている、偽造防止用紙を企画課が、市民課と観光課を取り持って偽造防止用紙に観光資源である風景や歴史的シンボルを入れると、より市の観光促進にもつながると思う。
そして地元による地元民のための自治体の支援になるのでは?
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21.02.15