訪問介護記録で「時系列で迷わない!記録の時間軸整理法」

はじめに

訪問介護の現場で日々行われている記録業務。その中でも、意外と多くの方がつまずきやすいポイントが「時間の整理」です。「どの順番で書くのが正しいの?」「支援中に何時何分まで覚えていられない…」といった悩みを抱えるヘルパーさんも少なくありません。

正確な時間軸に沿った記録は、利用者様の状態変化を把握し、他職種との連携をスムーズにするためにも不可欠です。本記事では、訪問介護記録における「時間軸整理」の重要性と、誰でも実践できる記録の工夫を詳しくご紹介します。

なぜ「時間軸の整理」が大事なのか?

1. 状況把握をスムーズにする

訪問介護記録は、ケアマネジャーや看護師など、他職種が見る重要な情報源です。「○○時に排泄介助を実施」「その後、入浴を実施」といった時系列が明確であれば、利用者様の一日の流れを把握しやすくなります。

2. 緊急時の検証に役立つ

例えば、利用者様の体調が急変した場合、「何時に異変があり、何時に対応したか」といった詳細が求められます。正しい時間の記録があれば、責任の所在や対応の妥当性を検証する重要な証拠になります。

3. 自分の業務の振り返りにも役立つ

訪問終了後に「今日は何をどの順番でやったっけ?」と振り返る際にも、時間を意識して記録を残しておけば、再確認や次回の準備がしやすくなります。

よくある「時間記録」の失敗例

  • 「作業の順番がバラバラで、流れがわかりづらい」
  • 「開始時間と終了時間が不自然(短すぎ・長すぎ)」
  • 「複数回に分けて行った支援がまとめられてしまっている」
  • 「時間の記載がまったくない」

これらは記録の信頼性を損ない、後々のトラブルの元となる可能性があります。

記録の時間軸を整理するための5つのコツ

1. サービス提供前に「予定時刻」を仮で決めておく

訪問前にその日の支援内容を確認し、おおよその時間配分を想定しておくことで、記録時に迷わず記載できます。

例:

10:00〜10:05 体調確認
10:05〜10:20 排泄介助
10:20〜10:40 入浴介助

※多少の前後はあってもOK。重要なのは順序と大まかな時間帯です。

2. 活動ごとに時間を区切って記録する

活動内容ごとに「時間」と「実施内容」をセットで記載する習慣をつけましょう。

例:

10:05〜10:20 排泄介助:ポータブルトイレへ誘導し、排便あり。立ち上がり時にふらつき見られたが声かけで安定。
10:20〜10:40 入浴介助:シャワー浴実施。皮膚状態良好。左足に軽度の発赤を認めた。

3. 支援直後にメモを残す

記録はすぐに書けなくても、簡単なメモ(時間・キーワードなど)を支援後に残しておくと、後で記録をまとめる際に役立ちます。

例:

「10:15 排便あり、少しふらつき」
「10:30 入浴完了、発赤あり」

これらをもとに、時間順に正確な記録へと整理できます。

4. 一連の流れをテンプレート化する

訪問内容がある程度パターン化されている場合は、「時間軸つきの記録テンプレート」を作っておくのもおすすめです。

例:

【訪問時間】10:00〜11:00

10:00〜10:05 健康チェック・バイタル確認
10:05〜10:20 排泄介助
10:20〜10:40 入浴介助
10:40〜10:55 更衣・整容
10:55〜11:00 片付け・退室

このような形でベースを用意しておくと、記録がスムーズになります。

5. ICTツールを活用する

最近では、訪問介護記録をスマートフォンやタブレットで入力できるアプリが多数登場しています。これらの多くには「タイムスタンプ機能」や「テンプレート登録機能」が備わっており、時系列に沿った記録をサポートしてくれます。

例:

  • 音声入力で簡単に記録
  • 写真付きで状況説明(施設によっては活用可)
  • 過去の記録との比較も容易

ケース別:時間軸記録の具体例

ケース1:身体介護(入浴+排泄)

訪問時間:10:00〜11:00

10:00〜10:05 あいさつ・健康状態確認。本人より「昨夜はよく眠れた」との申告。
10:05〜10:20 排泄介助実施。排便あり。ふらつきは見られず。
10:20〜10:40 シャワー浴実施。皮膚に異常なし。会話あり、リラックスされていた。
10:40〜10:55 更衣と整髪を援助。途中、左肩の痛みを訴えられる。可動域に注意。
10:55〜11:00 洗面所清掃・退出。

ケース2:生活援助(掃除・買い物代行)

訪問時間:13:00〜14:00

13:00〜13:05 健康状態確認。昼食はパンとスープを摂取済みとのこと。
13:05〜13:25 居室・トイレ・廊下の掃除。床のホコリ多め。掃除後、本人より「きれいになって気持ちいい」との発言。
13:25〜13:50 買い物代行。スーパーで牛乳、バナナ、納豆購入。
13:50〜14:00 冷蔵庫への収納・会計報告。問題なし。

まとめ

訪問介護記録における「時間軸の整理」は、記録の質を大きく左右するポイントです。特に介護職が多忙な中でも、記録の時系列を意識することで、他職種との連携やご家族への説明、万が一のトラブル対応にも強くなれます。

今回ご紹介した方法を活用し、日々の記録をより分かりやすく、信頼性の高いものにしていきましょう。

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