
はじめに
介護の現場で働き始めたばかりの新人職員の皆さん、ようこそこのやりがいのある世界へ。しかし、現場で早速直面する壁のひとつが「サービス実施記録の作成」ではないでしょうか?
「何を書けばいいのかわからない」
「文章にするのが苦手」
「毎回上司に直されて落ち込む」
こうした声は決して少なくありません。本記事では、そうした悩みを解消するための【入門講座】として、サービス実施記録の基本とコツをお伝えしていきます。
1. サービス実施記録とは?
サービス実施記録とは、介護職員がその日に提供したサービス内容や利用者の様子を記録するもので、法律上も必要な記録です。これはただの「日記」ではなく、以下のような意味があります。
- 利用者の状態変化を把握する
- チーム内で情報を共有する
- トラブル発生時の証拠となる
- 指導監査や介護報酬請求の根拠になる
記録の正確性・客観性・簡潔さが非常に重要です。
2. 新人がやりがちなNG例と改善ポイント
① 抽象的な表現ばかり
NG例:「元気そうだった」「特に問題なし」
改善案:「昼食時には完食され、食後に『今日はいい天気ね』と笑顔で話されていた」
② 主観が多すぎる
NG例:「この利用者はワガママで困る」
改善案:「入浴介助時、『今日は入りたくない』と繰り返され、介助を中断した」
③ 情報が抜けている
NG例:「歩行訓練を実施」
改善案:「10:30~10:45、廊下を職員と一緒に歩行訓練(距離約20m)を実施。歩行器使用。転倒なし」
5W1Hを意識して記述しましょう。

3. 基本の書き方テンプレート
日付 | 2025年6月18日(水) |
氏名 | 山田 太郎 |
サービス内容 | 排泄介助・歩行訓練 |
記録 | 9:00 排泄介助を実施。自力歩行でトイレまで移動し、職員見守りのもと排泄完了。衣服の着脱も自立。 10:30~10:45 歩行訓練を実施。廊下を歩行器使用にて2往復。やや疲労感あるも転倒等はなし。会話は明瞭で終始穏やかな表情。午後は居室でテレビ鑑賞されていた。 |
4. 書く前に押さえるべき5つのチェックポイント
1. 事実と意見を分ける
2. 専門用語・略語を使いすぎない
3. 誤字脱字を見直す
4. 時間を明記する
5. 利用者のプライバシーに配慮する
5. よくある質問(Q&A)
Q1:漢字とひらがなのバランスは?
A:高齢者記録では、「食事」「歩行」「排泄」「笑顔」など一般的な用語は漢字、それ以外は読みやすさを考慮してひらがなでもOKです。
Q2:複数の職員が関わった場合は?
A:「〇〇職員と共に」「〇〇介護士の補助にて」など、チームの関与も明記しましょう。
Q3:ネガティブな出来事も書くべき?
A:はい、正確な記録のために必要です。ただし「~だったので困った」といった表現ではなく、「~の様子が見られた」「~と訴えられた」など、客観的に記載するのが大切です。
6. 明日から実践できる!3ステップ練習法
Step1:他人の記録を読む
Step2:自分の記録を音読する
Step3:添削をお願いする
最後に ~「書く」ことは「伝える」こと~
サービス実施記録は、単なる「作業報告」ではなく、「利用者を守り」「チームを支える」ための重要な手段です。
最初は時間がかかって当たり前ですが、日々少しずつコツを掴んでいけば、確実に上達します。
