訪問介護における調理ケアで糖尿病対策の食生活の管理


高齢者の糖尿病対策として、調理で何に気を付ければいいの?

1.高齢者の糖尿病対策に食生活管理よく見られる問題点

糖尿病では食生活の管理が欠かせません。
しかし、高齢者の場合は
・食事内容を変えることができない
・ちょっとでも残るともったいないと食べてしまう
・むせてしまい、飲み込みがむずかしくなってあまり食べられず、食事内容が偏ってしまう
・食品交換表の使い方がむずかしく、理解できない
など問題がみられることが多くあります。

2.ヘルパーが調理で入る場合に活用できるアイディア

訪問介護のケアで調理に伺う場合、糖尿病を患っている利用者の方は少なくないと思います。
しかし、糖尿病は今までの積み重ねで発症する「生活習慣病」の一つです。
いきなり「こっちが正しいからこっちのやり方にしましょう。」と
無理やり修正しようとすると、本人にも周囲にも大きなストレスがかかってしまいます。
以下にあまりストレスをかけずに改善するため、役に立つであろうポイントを
7点上げましたのでご紹介いたします。

・ご飯をあらかじめ小分けにしておく

ご飯をつい食べ過ぎてしまう方の場合は、ご飯を炊いたら小分けにして保存しておくことを
お勧めします。糖尿病の食事管理は1単位80Kcalとなっています。
ご飯の1単位は50gです。制限の確認が必要ですが大体の場合、1食2単位
振り分けることができるので、100gずつ小分けにしておくとご家族の方も
利用しやすいと思います。また、あらかじめ小分けにしておくことで、
盛りすぎて食べ過ぎることを防ぐことができます。

・味付けは煮込みではなく、仕上げに絡めるようにして付ける

調味料とともに煮込んでしまうと、食材に塩分・糖分がしみ込んでしまい、
高塩分・高糖分になってしまいがちです。煮物は、だしなどで軟らかくなるまで煮た後、
仕上げで絡めるように調味料を使って味付けをすると減塩が期待できます。
外側にしっかり味がつき、薄味の煮込み料理にするよりも満足感を得ることができるでしょう。

・味噌汁は具だくさんにする

味噌汁が好きな利用者の方は多いと思います。その場合、具材を多くするといつもの
お椀に入る水分自体が減るので、味噌やだしを控えめにしてもいつも通りの味で
召し上がることができます。

・香辛料、香味野菜、酢、レモンなどの刺激や香りづけでもの足りなさを補う

ショウガやネギ、ゴマやコショウなど香りが高いものを使って味付けを行うと、
使っていない場合と比べて、調味料の使用量を減らしてもおいしさを保つことができます。
酢の物は「酢」自体には塩分糖分もなく、漬け込む調理法が多いため低塩分のおかずを
調理するときは便利に使えます。「レモン」を使った料理も酸味、
香りが強いので減塩が期待できます。

・漬物が欲しいときは一点だけ少量を豪華に盛り付ける

どうしても漬物が食べたい利用者の方は多いと思います。
少量の漬物をきれいに少し大きめのお皿に盛りつけます。
すると視覚から満足感を得られるため、食べ過ぎを防ぐことができます。

・豆腐、刺身など醤油を付けたいときに、小分けされている減塩醤油を活用する

豆腐、刺身、納豆など醤油をかけるものは、ついついかけすぎてしまいがちです。
かけすぎを防ぐためあらかじめ小分けになっているものを購入しておくことを
お勧めします。減塩だとなお良いでしょう。

・醤油の代わりに味ぽんやポン酢を使う

味ぽんで和え物や煮物を作っても、しっかり味付けをすることができます。
味ぽんの塩分は醤油の半分以下、ポン酢にはほとんど塩分がありません。
調理に加えるとバリエーションも増え、手軽に使えて便利です。

3.調理のメニューを考えるときにバランスを整える

ここまで調理の際の具体的なポイントを上げてみました。では、具体的にメニューを
考える場合どのようなポイントに気を付ければ、バランスよく食事を提供できるでしょうか。
糖尿病対策で調理する場合、食材選びの基本は、「まごわやさしい」だと言われています。

「まごわやさしい」とは

・・・豆類…特に大豆に含まれる大豆イソフラボンは、糖の代謝に関わる重要な
____成分であるインスリンの働きを助ける作用があります。
____ただ、豆腐にすると食べ過ぎてしまうため、
____毎日の場合は、1/4程度を目安に摂取するといいでしょう。
・・・ごま…ゴマにはセサミンが多く含まれているため、抗酸化作用という体内の
____老廃物質を排出しやすくなります。また、油分は半分以上がリノール酸で
____できているので、血液中の善玉コレステロールが増えることが期待できます。
・・・わかめ(海藻類)…低糖質、低カロリーしかも食物繊維が多く含まれています。
____食物繊維は血糖値の急激な上昇を防いでくれる働きがあります。
・・・野菜…野菜類にはミネラルや食物繊維が豊富なうえ、低カロリーです。
____食事に多く取り入れて満足感アップを狙いましょう。
・・・魚…魚にはEPAやDHAといった血液の成分改善に役立つ油が豊富に
____含まれています。体のバランスを整えるためにもたんぱく質は大切です。
____良質の油がたくさん含まれている魚を主菜に多く取り入れることで
____血液をきれいにしましょう。
・・・しいたけ(キノコ類)…キノコ類も食物繊維が豊富で低カロリーです。    
____うまみ成分も豊富なので料理のかさましにも最適です。
____また、糖尿病になる人は骨粗鬆症になるリスクも高まるのですが、
____キノコ類にはビタミンDが豊富に含まれているため、
____骨を強くする働きを助けてくれます。
・・・いも類…芋類も食物繊維が豊富に含まれています。
____また、芋類に含まれているビタミンCは加熱しても壊れにくい構造に
____なっています。ただ、芋類は糖質が多く食べ過ぎる傾向にあります。
____食品交換表での重量や食事のバランスを考えながら
____メニューに取り入れれば、逆に糖尿病の予防につなげることができます。

これらの食材をバランスよく使っているレシピが糖尿病対策の基本です。
具体的に上げると

例1)ご飯 豆腐とわかめの味噌汁 鮭のホイル焼き 里芋の胡麻マヨ和え 浅漬け

例2)ゴマ塩おにぎり 石狩汁 揚げ出し豆腐 ほうれん草のおかか和え

といったようなメニューが理想的です。
ちなみにお浸しを提供するときに「味ぽんで味付けをする」、「小分け醤油を使う」と
簡単に減塩が期待できるので、お勧めです。

4.ケアのときに、調理以外で気を付ける点

食事以外だと糖尿病で重要なのは水分です。脱水になってしまうとどうしても高血糖に
なってしまいます。ケアに入った際は水分補給をしていただくことが必要です。
ヘルパーがいないときでも、手の届きやすいところに利用者の方が好まれる水分を
置いておくことも大切です。その他には、必要以上に作り置きせず,食べすぎるものが
ないようにするといいですね。また、糖病病の方が服薬を忘れてしまうと血糖値の変動が
大きくなってしまいます。食事提供のときにチェックしやすいよう、服薬カレンダーなどを
活用し、飲み忘れに気づけるよう工夫しておきましょう。

5.食生活のバランスを整えて健康に

食事に関して工夫してみても、あまり本人からの協力が得られないとストレスを
感じていらっしゃるような場合は、既に栄養管理が行き届いた「お弁当宅配サービス」を
利用すれば、彩もよくバランスの取れた食事を提供することができます。
宅配サービスもあまり好きではない場合は、主治医や管理栄養士にご相談いただければ、
適切な栄養を強化した食品やサプリメントを紹介してもらえます。糖尿病は様々な健康障害を
起こす可能性のある疾患ですが、コントロールできていれば、普通の生活を送ることが可能です。

その一方で、糖尿病が進行すると認知機能低下、腎臓病、失明など多くの合併症を
引き起こしてしまいます。そのため、普段から周囲の人間が気を配るだけでなく、かかりつけ医に
定期受診して、経過観察をしておくことが重要です。バイタルをきちんと管理し、
生活のバランスを整え、健康維持に努めていくことが利用者本人の幸せにもつながっていくでしょう。

<管理栄養士>

 

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