偽造防止用紙は、現代のビジネスにおいて極めて重要な役割を果たしています。その理由は、偽造や改ざんなどの犯罪が年々増加しているためです。そこで本記事では、偽造防止用紙の仕組み・悪用されないための種類などを紹介します。
この防犯性の高い用紙は、偽造の予防・偽造の発見と2つの種類があり、それぞれの特徴も、記事内で触れています。記事を読めば、偽造防止用紙の基礎知識を習得できるので、用途に応じた選択が可能になるでしょう。ぜひ本記事を参考に、偽造防止用紙の導入を検討してみてください。
目次
偽造防止用紙とは?
偽造防止用紙の仕組み
偽造の予防ができるタイプ
偽造を発見できるタイプ
偽造防止用紙の種類
隠し文字
マイクロ文字
透かし
地紋・彩紋
示温インキ
グラデーション
偽造防止用紙はオリジナルで作成するのがおすすめ
偽造防止用紙を依頼する際の流れ
まとめ
偽造防止用紙とは?
偽造・改ざんから文書を守るために開発された特別な用紙です。この用紙には、隠し文字・マイクロ文字など、さまざまな種類のセキュリティ対策が使用されています。これらの技術によって、偽造を困難にしているのです。
たとえば、印鑑証明書や住民票などの公的な文書は、偽造や改ざん防止策として、この用紙が採用されています。実際に用紙をコピーすると「複写」の文字が浮かび上がる特別な加工です。これにより、偽造品と本物かどうかが簡単に見分けられます。このように、偽造防止用紙は、最新の技術を駆使し、犯罪行為を未然に防いでいます。
偽造防止用紙の仕組み
偽造防止用紙は、大きく分けて2つのタイプがあるのをご存じでしょうか。ひとつは偽造の予防、もうひとつは、偽造を発見できるタイプです。次項からそれぞれの特徴を紹介します。
偽造の予防ができるタイプ
こちらは、特殊インクを使用しているのが特徴です。特殊インクとは、4C(プロセスカラー)で表現できない色を指します。ゴールド、シルバー、ニスなどがよく使われています。
特殊インクを使用した用紙であれば、通常のコピー機では再現ができません。また、偽造を防ぐ手段として、視覚だけではなく用紙自体に凹凸などを使い、触覚的な防止策を用いたものもあります。
偽造を発見できるタイプ
こちらは、「複写」の文字が浮かび上がる特殊加工が施されています。この用紙は、公的文書に使用されているケースが多いため、誰もが一度は目にしているのではないでしょうか。
たとえば、車検証や住民票などの公的な文書は、こちらの偽造防止用紙が採用されています。カラーコピーすると「COPY」や「複写」の文字が出るため、偽造の真贋が一目で判別可能となっています。
偽造防止用紙の種類
偽造を未然に防ぐため、偽造防止用紙も多くの種類があります。ここでは、具体的な種類を紹介します。
隠し文字
通常は目に見えない文字を用紙に配置し、偽造防止効果を高めています。目に見えない加工をすることで、偽造されにくい仕様にしているためです。具体例としては、高校・大学などの卒業証明書です。実際に卒業証明書をコピーすると「無効」といった文字が浮かび上がります。なお、証明書の提出先がコピーした用紙を要求する場合は、とくに問題はありません。
また、オリジナルの用紙であれば、隠し文字を企業ロゴや企業にしかわからないメッセージなどに変更するケースもあります。
マイクロ文字
マイクロ文字は、極めて小さな文字で人間の目では読み取りが難しい技法です。マイクロ文字の技術は精巧なため、偽造が非常に困難な作りとなっています。したがって、偽造品と本物の見分けには非常に有効です。
身近な例として、日本紙幣には、細かなマイクロ文字が印刷されています。このように、マイクロ文字は効果的な防犯技術として、多くの偽造防止用紙に使用されています。
透かし
用紙に特殊な加工を施し、透かしになっている部分に文字や図案を印刷します。この印刷部分は、用紙の表面にある紋様の下にあるため、偽造品を作ろうとしても簡単には再現できません。
身近な例としては、日本の紙幣があげられます。紙幣を傾けると偉人の顔が浮かび上がります。以上のように、透かしを使用した用紙は、犯罪を未然に防ぐための有効な手段となっているのです。
地紋・彩紋
地紋・彩紋とは、偽造防止用紙の種類のひとつで、用紙の背景にある模様をいいます。この模様は、弧線や円形などを組み合わせた精密な幾何学模様で、非常に複雑なデザインです。
また、地紋・彩紋は、多くの公的文書に使用されているのをご存じでしょうか。たとえば、車検証や住民票などの重要な公的文書をよく見ると、背景に地紋が印刷されています。こうした印刷技法により、真贋が簡単に判別できるようになっています。
示温インキ
示温インキは、別名「サーモクロミックインキ」と呼ばれ、特殊なインクが使用されています。指の体温で温めれば色が消え、指を離せば現状復帰するといった特徴を持っています。
そのため、金融機関や公的機関など、高度なセキュリティが求められる場面で使用されるケースが多いです。
グラデーション
グラデーションとは、色の濃淡を分けることで、滑らかな色の変化を表現する技法です。こちらの技法を採用した用紙は、なめらかなグラデーションで表現されています。しかし、偽造品はコピーするとグラデーションが再現されずに部分的に消えてしまいます。そのため、コピーをすれば真贋が一目瞭然となるのです。
偽造防止用紙はオリジナルで作成するのがおすすめ
偽造防止用紙は、公的文書に限らず、ビジネスや個人の身分証明書など、数々の場面で利用されています。しかし、市場には複数の汎用偽造防止用紙が販売されており、他にはない最適なものを選び出すのは容易ではありません。
そこで、オリジナル用紙の作成をおすすめします。オリジナルで作成した偽造防止用紙は、使用用途にあわせて最適な技術や素材を選択できます。また、企業ロゴやデザインを取り入れることで、ブランディング効果も期待できるでしょう。
そのため、次項では専門業者に作成依頼する流れを解説します。
偽造防止用紙を依頼する際の流れ
オリジナルの偽造防止用紙を作成する際は、専門業者への依頼が必要です。ここでは、業者に依頼する流れを解説します。
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完成するまでの流れ |
内容 |
1 |
問い合わせ |
まずは、偽造防止用紙を作成している専門業者に問い合わせをします。業者によって費用・商品が異なるので、入念に確認しましょう。 |
2 |
ヒアリング |
用紙の種類・デザイン・数量・色など、くわしくヒアリングを行います。 |
3 |
汎用品サンプルを提出 |
専門業者から、汎用品サンプルを提出してもらいます。ここで、依頼者はデザインの大枠が確認できます。 |
4 |
会社とかのロゴ等(会社の色)を送ってもらってデザインを決める |
会社のロゴや企業カラーなどを提供してもらい、こまかいデザインを決定します。企業のブランディングにもつながるため、重要な工程です。 |
5 |
用紙と数量と色を決定する |
まずサイズですが、スタンダードなサイズはA4です。 次に用紙の厚みは「上質35K」・「上質40K」・ 「上質44.5K」が一般的です。そして、自社のプリンターにマッチした用紙を決定します。 次に数量の設定ですが、月間・年間の使用数量を予想してからの発注をおすすめします。追加発注などあると、再度費用がかかるため、最低1,000枚以上の発注数にすると良いでしょう。 |
6 |
見積もりを提出 |
専門業者から、見積もりを提出してもらいます。偽造防止の種類によって、作成費用が異なる点に注意しましょう。たとえば、マイクロ文字や透かし技法より、隠し文字の方が費用負担が大きくなります。 そして、セキュリティ面と予算を確認し、作成の可否を判断します。 |
7 |
レイアウト |
依頼された内容をもとにデザインのレイアウトに入ります。 |
8 |
テスト品 |
テスト品を提供してもらいます。イメージした商品と相違がないかを確認します。 |
9 |
お客様で確認。修正があれば修正 |
修正が必要な場合は修正依頼を行います。 |
10 |
印刷、進行 |
修正が完了次第、印刷の工程に移ります。 |
11 |
納品 |
業者にて最終検品を実施した後、納品となります。 |
まとめ
本記事では、偽造防止用紙の仕組みや種類について紹介しました。偽造防止用紙には、隠し文字・透かし・地紋・彩紋・マイクロ文字・グラデーションなどの技法があります。
これらの技法を駆使して、偽造・改ざん行為を未然に防止しています。
また、オリジナルの偽造防止用紙を作成することで、最適な技術や素材を選択し、ブランディング効果も期待できるでしょう。オリジナル用紙の作成には専門業者への依頼が一般的です。現在、偽造防止用紙の導入を検討中の企業担当者は、今回の情報を参考に、偽造防止用紙を自社内に取り入れてはいかがでしょうか。