サービス実施記録|主な8項目の書き方と文例を解説

「介護ヘルパーを始めたけれど、サービス実施記録をどのように書けばいいのかわからない」
「サービス実施記録にはどんな項目が必要なの?」

介護サービスを提供する事業者に勤務していて、そのような疑問や悩みを持っている方も多いでしょう。

「サービス実施記録」とは「介護記録」の一種で、介護サービスを提供する事業者が、「誰にいつどんなサービスを提供したか」や「そのときの利用者の様子、健康状態」などを記録するものです。
厚生労働省の省令によって、この記録を残すこととそれを2年間保存しておくことが、各種介護事業者に義務付けられています。

この記録には法的に決まった書式はありませんが、一般的には以下のような8項目で構成され、複写式の書面か、介護記録専用のソフトやアプリに記録することが多いものです。

①実施日時
②サービスの種類
③事前チェック
④身体介護
⑤生活・家事援助
⑥自立支援
⑦利用者について
⑧退室確認

【サービス実施記録票の見本】

さらに、より内容の充実した記録を作成するには、以下の8つのポイントをおさえておくといいでしょう。

・よく観察する
・客観的な事実を書く
・5W1Hを意識する
・利用者の様子を具体的に書く
・根拠を書く
・ケアプランに沿って書く
・他の職員との情報共有を意識する
・ポジティブな視点を持つ

 

これを踏まえた上で、ではよい書き方と悪い書き方の例についても紹介していきます。
たとえば以下のような例です。

【「利用者の様子を具体的に書く」際のよい例・悪い例】

よい例 具体的 「◯◯さんは、レクリエーションでカラオケ具体的な内容)に参加。『▲▲▲▲』『※※※※』(固有名詞)2曲(数字)を歌った。歌詞をあまり見ずに、大きな声で歌っていて、他の人が歌う間も手拍子をして(具体的な楽しみ方の様子)楽しんでいた。終わったあとに『気持ちよかった、また参加したい』と笑顔で(実態に言ったことや目に見えたこと)おっしゃった。」
悪い例 具体的でない 「◯◯さんは今日のレクに参加。楽しそうだった。」

以上のように、この記事ではサービス実施記録について、介護サービスに携わる者が知っておくべきことをひと通り網羅しました。
記録を残す意味から各項目のくわしい書き方まで、以下の内容で説明していきます。

◎「サービス実施記録」とは?
◎なぜサービス実施記録が必要なのか
◎サービス実施記録の記載内容
◎サービス実施記録の記入手順・5ステップ
◎サービス実施記録の記入に迷いがちな項目の書き方・文例
◎よりよいサービス実施記録作成を作成するための8つのポイント
◎サービス実施記録に関する法律・規定
◎よくある質問

最後まで読めば、知りたいことがわかるはずです。
この記事で、あなたがサービス実施記録を適切に書けるようになることを願っています。

1. サービス実施記録とは

サービス実施記録の書き方や注意点などを説明するに先立って、まず最初に、そもそも「サービス実施記録」とはどんなものか、何のために記録が必要なのかという基本的な事柄を、あらためて確認しておきましょう。

 

1-1. 「サービス実施記録」とは?

「サービス実施記録」とは「介護記録」の一種です。
訪問介護や通所介護などの介護サービスを提供する際に、「誰にいつどんなサービスを提供したか」や「そのときの利用者の様子、健康状態」などを記録します。

これは、厚生労働省の省令によって義務付けられたもので、各種の介護事業者は、サービスを提供するごとにかならずその内容を記録に残し、2年間保存しておかなければなりません。

ただ、法的に決まった書式はありません
そのため、記録票の用紙は、

・各事業所で独自に作成する
・一般的な項目で構成された書式が販売されているので、それを購入する
・自治体によっては、ホームページから書式がダウンロードできるようになっているのでそれを利用する

など、都合のよい方法で入手すればいいでしょう。

【サービス実施記録票の見本】

1-2. なぜサービス実施記録が必要なのか

では、このサービス実施記録は、なぜ必要とされるのでしょうか?
その理由は以下の3点です。

・スタッフ間や外部と情報を共有するため
・介護報酬を請求する際の根拠となるため
・介護サービスに関する知見を積み重ねるため

それぞれくわしく説明しましょう。

1-2-1. スタッフ間や外部と情報を共有するため

まず第一に、記録を残すことで、スタッフ間で情報共有することができますし、必要であれば外部の医師などにも情報を提供することが可能になります。

介護サービスは、ひとりの利用者に対してつねに同じヘルパーが担当できるとは限りません。

そのため、ヘルパーが変わる際には引き継ぎを行う必要がありますが、そこで「サービス実施記録」が役立ちます。
前回どのようなサービスを行ったか、その際に利用者がどのような様子だったかがわかれば、次回により適したサービスが提供できるでしょう。
たとえば、訪問介護で食事を作る場合、利用者の好き嫌いや前回のメニューを記録しておくことで、嫌いなものや同じメニューを出してしまうことが避けられ、好きなものやバリエーションに富んだ食事を提供できるようになるはずです。

また、場合によっては利用者が病院や老人ホームなどを利用するにあたって、過去の介護状況に関する情報が役立つこともあります。
そのような外部との連携のためにも、サービスの記録を残しておくことは重要なのです。

1-2-2. 介護報酬を請求する際の根拠となるため

もうひとつ重要なのが、介護報酬を請求する際の根拠としての役割です。
「介護報酬」とは、「事業者が利用者(要介護者又は要支援者)に介護サービスを提供した場合に、その対価として事業者に対して支払われる報酬のこと」(厚生労働省資料「介護報酬の仕組みについて」より引用)を指し、その金額は、提供された介護サービスごとに規定されています。
介護報酬のうち原則として1割は利用者が負担しますが、残り9割は「介護給付金」として各自治体が負担することになっていて、事業者が国民健康保険団体連合会に請求することで給付される仕組みになっています。

出典:厚生労働省「第1回社会保障審議会後期高齢者医療の在り方に関する特別部会」資料

つまり、どのような介護サービスを提供したかによって介護報酬の金額が決まるため、その内容を証明する根拠としてサービス実施記録が必要なのです。
特に、「介護給付金」を請求する際には、このサービス実機記録をもとにして提出書類を作成します。
もし、請求内容が適切かどうかを調査され、内容を証明する必要が生じた場合には、この記録が証拠となります。

実施記録がなかったり、請求内容と異なっていたりした場合には、介護給付金の返還や、介護保険サービス事業者としての指定を取り消されてしまう恐れもありますので、サービス実施記録の保存が必須なのです。

1-2-3. 介護サービスに関する知見を積み重ねるため

さらに、サービス内容の記録を積み重ねることで、事業所やスタッフにその経験や知識が蓄積されていきます。
利用者の過去の状態やその変化を見ていくことで、今後の方針を立てることもできますし、何か異常があった際には早期に発見することも可能になるでしょう。

2. サービス実施記録の記載内容

さて、サービス実施記録とはどんなものか、あらためて理解したところで、いよいよその書き方を見ていきましょう。
まずは、「どのような項目を記載すべきか」からです。
といっても、前述したようにサービス実施記録には決まった書式はありませんので、ここでは一般的な記載内容として、以下の8項目を挙げておきます。

①実施日時
②サービスの種類
③事前チェック
④身体介護
⑤生活・家事援助
⑥自立支援
⑦利用者について
⑧退室確認

※この見本は訪問介護サービスの記録票ですが、通所介護などサービスの種類によって記載内容は多少異なります。

2-1. ①実施日時

ここにはサービスを提供した日時と、提供時間を記載します。
日付はもちろん、「何時間利用されたか」によって介護報酬が異なってきますので、時間も忘れずに記載しましょう。
実際にサービスを提供する際には、予定通りに「◯時きっかり」に開始/終了することはあまりないでしょうから、正確な時間を1分単位で記入してください。

2-2. ②サービスの種類

提供するサービスの種類を記載する欄です。
「通常の訪問介護しか行っていない」という事業所であれば、種類の区別は必要ないかもしれませんが、「障がい者介護支援」や「介護予防」、「移動支援」、「介護保険制度外のサービス」なども行っている事業所も多くありますので、その場合はサービスの種類を明確にしておく必要があります。

2-3. ③事前チェック

サービス実施前と実施後の状況を記録しておくことで、利用者の状態をより把握できるようになります。
ここでは事前にチェックしておくべきことについて記載しましょう。
たとえば、利用者の「バイタル(体温、血圧、脈拍など)」や体調、顔色の確認は必須です。

また、換気や室内の温度、湿度などの調整といった「環境整備」が必要な場合はそれを実施した上で記録します。

さらに、利用者の悩みや相談を受けて、解決に向けてのサポートをする「相談援助」や「情報収集・提供」などを行った場合も記録を残してください。

記録のしかたは、ひとつずつ文言や文章を記入する方法でも構いませんが、見本のようにチェックボックスにチェックを入れる方式にすると簡単で見落としも減るでしょう。

2-4. ④身体介護

ここからは、くわしいサービス内容の記録です。
まずは「身体介護」ですが、これには「排泄介助」「食事介助」「清拭・入浴」「身体整容(洗顔や口腔ケアなど)」「体位変換」「移動介助」「起床・就寝介助」「服薬介助」などが含まれます。

これらに関して、文章で記入してもよいですし、見本のようにサービスを行った項目にチェックを入れ、特に記載しておくべきことがあった場合には別の欄に記入するようにしてもよいでしょう。
くわしい記入のしかた、文例については、「4-1. 身体介護」で解説しますので、そちらも読んでみてください。

2-5. ⑤生活・家事援助

次に、「生活・家事援助」の項目です。
ここでは「掃除」「洗濯」「ベッドメイク」「衣類の整理・補修」「布団干し」「調理」「買い物」「薬の受け取り」など、日常生活や家事に関するサービスを記載します。

前項の「④身体介護」同様に、文章で書いてもチェックしてもよいですが、調理をした場合には献立と食べた量を、買い物の場合は預かり金額・買い物額・お釣りの金額をかならず記入しておきましょう。
献立は、次回以降のメニュー決めの参考になりますし、もし利用者が体調不良になった際には、食べたものと量が参考になる可能性があります。
また、お金を預かる際には、のちのち「お釣りが足りない」などのトラブルを避けるためにも、逐一金額を確認するようにしてください。

この項目も、「4-2. 生活・家事援助」で文例などを紹介しますので、のちほどぜひ読んでください。

2-6. ⑥自立支援

また、ヘルパーが身体介護や生活・家事援助などを行うだけでなく、利用者ができるだけ自分自身でできるようにサポートする「自立支援」を実施した場合は、それを分けて記載します。
たとえば家事を一緒に行った場合や、入浴・着替え・移動などの見守りと声かけ、買い物の手伝いなどです。

2-7. ⑦利用者について

ここまでサービスの具体的な内容を記載したら、その際の利用者についても記録を残しておきましょう。
たとえば利用者からの要望や意見、見ていて気づいたこと、様子の変化などです。

特に、会話の中で利用者が気分や体調、近況などに関してどんなことを言ったか、そのときどんな様子だったかは、利用者の心情が伝わる情報で、他のスタッフが担当する際に参考になるでしょう。
もちろん、「前回にはなかった発疹が出ていた」「いつもより歩きづらそうで、右膝に痛みがあると言っていた」など、身体的な変化や異常があった場合は、くわしく記載しておいてください。

2-8. ⑧退室確認

最後に、退室する際のチェックもしておくといいでしょう。
見本のように、「火の元」「電気」「水道」「戸締まり」などをチェック方式にして、サービス終了時にチェックを入れます。
これにより、最後まで安全にサービス提供を終えられたことの確認ができます。

以上8項目は、一般的な訪問介護のサービス実施記録の内容ですが、これ以外にも各事業所で必要な項目があれば追加して記録票を作るとよいでしょう。

 

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3. サービス実施記録の記入手順・5ステップ

では次に、サービス実施記録を作成する手順を説明しましょう。
前章の見本のような記録票の場合、以下の5ステップで記入を完成させます。

STEP1)利用者名、ヘルパー名を記入する
STEP2)サービス提供日時を記入する
STEP3)サービスの種類と内容を記入する
STEP4)その他項目を記入する
STEP5)利用者の押印をもらう

3-1. STEP1)利用者名、ヘルパー名を記入する

まず最初に、利用者の名前とヘルパーの名前を記入します。
同姓の人がいる可能性もあるので、どちらもかならずフルネームで書いてください。
記録票には最後に利用者から押印してもらうため、本人が目にしてもいいように、利用者名は漢字を間違えないよう、ていねいな文字で書くことが大切です。

3-2. STEP2)サービス提供日時を記入する

次に、サービスの提供日時を記入します。
あらかじめ、介護計画通りの時間を記入してしまえばいいと考えるかもしれませんが、実際のサービスは予定通りには終わらないことも多いでしょう。
そのため、サービスを始めるとき、終わるときに時間を確認して、1分単位で正確に記入しましょう。

3-3. STEP3)サービスの種類と内容を記入する

続いてサービスの種類と、サービス内容を記入します。
これは前項の日時とは異なり、事前に介護計画で定められた内容を書けばOKです。
というのも、ヘルパーは介護計画にないサービスは基本的に提供できないため、あとで内容が変わることは原則的にないからです。

とはいえ、やむを得ない事情で、予定になかった介助を行うケースもあるでしょう。
その場合は、サービス終了後に「追加で行ったサービス内容」と「なぜ予定にないそのサービスを行ったか」をあわせて追記すれば結構です。

また、サービス内容の書き漏らしには注意してください。
前掲の記録票見本のようにチェック式になっていると、チェックのし忘れがままありますので、よく確認しましょう。

3-4. STEP4)その他項目を記入する

続いて、その他の項目も記入します。
利用者の言葉や様子、体調の変化など気づいたことは、サービス終了後にしか書けませんので、最後になるべく具体的に書きましょう。
退室確認が必要な場合も、最後にチェックします。

3-5. STEP5)利用者の押印をもらう

これですべての項目が記入済みになりました。
そこで、利用者に内容を確認してもらい、印鑑を押してもらうかサインをもらいましょう。

法的には、サービス実施記録に利用者の押印は必要ありません
が、サービス提供時間や内容、お金を預かった場合はその金額など、重要な事項に間違いがないことを裏付けるためにも、利用者の印かサインをもらっておくのがおすすめです。

4. サービス実施記録の記入に迷いがちな項目の書き方・文例

さて、ここまで読めば、サービス実施記録を書くことはできるはずです。
が、実際に書こうとすると「こういう場合は何と書けばいいのかわからない」と迷うことも多いでしょう。
そこでこの章では、書き方に迷いがちな以下の項目について、具体的な文例を挙げて説明しておきましょう。

・身体介護
・生活・家事援助
・その他

4-1. 身体介護

身体介護の項目に関して、特に文章で書き残しておきたいことがある場合、どのように書けばいいのでしょうか?
書き方のポイントは以下です。

・サービス中の利用者の様子が家族に伝わるよう、「家族が知りたいと思うこと」を書く
・「利用者が何をしたか/どのような状態だったか」に対して「ヘルパーがどんな対応をしたか」をかならず書く

具体的な文例をいくつか挙げておきましょう。

  いい文例 悪い文例

排泄

トイレまで、廊下の手すりにつかまって自分で移動するのを誘導したが、間に合わずに下着を汚された。◯◯さんが「自分で始末できない」とおっしゃるので、清拭をして新しい下着への着替えを介助したのち、床を掃除した。 トイレに間に合わず失禁。
食事 寝室でベッドに寝ていらしたので、「食事ができましたよ」とお声がけすると、起きて食卓につき、自分で食べ始めた。肉や野菜は小さく切ってお出ししたが、ごはんを食べたときに誤嚥して5〜6回ほどむせた。急いでお茶をお出しすると、それを飲んで落ち着き、また食事を再開した。 食事中に誤嚥。
清拭・入浴 前回、浴槽内で足がすべりそうで危険だったので、すべり止めマットを敷いたところ、「これならすべらなくて立ち座りがしやすいね」と満足されていた。洗身では、手足と体の前は自分で洗えたが、腕が肩より上に上がらないため、背中や臀部、洗髪はヘルパーが介助した。 入浴介助で洗身・洗髪を行う。
起床・就寝 ◯時に「おはようございます」と声をかけ、目が覚めたのを確認してから着替えの介助をした。着替えが終わったところで「トイレに行きたい」とおっしゃったので、トイレまで誘導した。 ◯時に起床、着替えてトイレに行く。
服薬 最近、薬が飲めずに口から出してしまうことがあったので、ゼリーと一緒に飲んではどうかと考えた。朝食後の◯時◯分、ゼリーに混ぜてお出ししたところ、スムーズに飲み込むことができた。 薬が飲みづらいようなので、ゼリーと一緒に飲み込むようにした。

4-2. 生活・家事援助

生活・家事援助の項目も、書き方のポイントは前項の「4-1. 身体介護」とほぼ同じですが、ひとつお金の取り扱いに関しては、記録に注意が必要です。

・サービス中の利用者の様子が家族に伝わるよう、「家族が知りたいと思うこと」を書く
・「利用者が何をしたか/どのような状態だったか」に対して「ヘルパーがどんな対応をしたか」をかならず書く
・利用者から現金を預かって買い物などをする場合は、事前に預かり金額を、事後にレシートとお釣りを利用者と一緒に確認し、「預かり金額・買い物金額・お釣りの金額」をそれぞれ記入しておく

具体的な記載例は以下の通りです。

  いい文例 悪い文例

掃除

「お掃除しますね」とお声がけしたところ、「今日は居間の掃除はいいから、お台所を中心にお願い」と言われたので、台所の床の掃除機がけ、水拭き、シンクとガス台の汚れ取りを行った。その後、居間以外の寝室、廊下の掃除機がけ、トイレ掃除も行った。 室内をひと通り掃除した。
洗濯 予定通り「洗濯をしますので、洗い物を出してください」とお願いすると、寝室にまとめてあった衣類やタオルなどを「これを洗ってほしい」と示されたので洗濯し、ベランダに干した。中に下着があり、1枚に失禁のあとがあった。。 予定通り洗濯をしたら、下着に汚れがあった。
調理 昼食作りの際に、「何か食べたいものはありますか?」とお聞きしたところ、「魚と煮物がいい」とおっしゃった。冷蔵庫を確認すると、鮭と大根、にんじん、里芋などがあったので、焼き鮭と根菜の煮物を作ってお出しした。味付けは薄味にしたところ、「少し薄いな」と言いながらも完食していただけた。 昼食に焼き魚と煮物を出した。
買い物 買い物の日だったので、まず◯◯さんと一緒に冷蔵庫や洗面所を確認して、足りないもの・買うものリストを作った。近所のスーパーで買い物をしたあと、薬局にも行って薬を受け取って帰った。
預かり金●●円/買い物●●円、薬代●●円/おつり●●円
買い物に行った。買ったものは◎◎、△△、※※など。

4-4. その他

また、これ以外でも文章での記載が必要になるケースはいろいろとあります。
その主なものを以下にまとめましたので、参考にしてください。

  いい文例 悪い文例
リハビリテーション 理学療法士による膝の曲げ伸ばしをした。その後、居室まで杖をつきながら移動するのを見守ったが、一度も立ち止まらずに歩くことができ、「前よりだいぶ歩きやすくなった」とおっしゃっていた。 膝の曲げ伸ばし運動をしたところ、歩きやすくなった様子だった。
レクリエーション デイサービスでははじめてカラオケに参加した◯◯さん、楽しそうに「△△△(曲名)」を歌っていた。高い音程や長く伸ばす部分も声がよく出ていて、終わったあとに「気持ちよかった、また参加したい」とおっしゃった。 カラオケに参加、得意な歌を歌って楽しんでいた。
体調の変化 12時から昼食でごはん、お味噌汁、焼き魚、ほうれん草のおひたしを出した。いつもは魚の身を上手にはずして食べられるのに、今日はお箸でうまくつかめなかったり、お茶碗を落としたりした。食後、お腹をさすって少し苦しそうにしていた。 食事中に箸でおかずをうまくつかめなかったり、茶碗を落としたりした。
事故対応 トイレへの移動を見守りしていたが、何もないところでつまづいたように転んでしまった。「大丈夫ですか? どこが痛いですか?」とお声がけしたところ、「膝を打った」とのこと。外傷やアザなどはないようだったが、所長に相談の上、スタッフが付き添って▲▲整形外科を受診する。介護リーダーから長女の◆◆さんに電話連絡したところ、病院で合流。診察の結果、「問題ない」とのことだった。 トイレに行く途中、転んで膝を打って整形外科に行った。特に問題はなかった。
認知症ケア 昼食後の13時すぎ、◯◯さんの落ち着きがなくなって、室内を行ったり来たり、立ったり座ったりし始めた。13時30分ごろ、玄関から外に出ようとするので、「どこに行くんですか?」とお声がけしたところ、「お昼ごはんがないから食べに行く」と言うので、スタッフが同行した。◎◎公園のあたりで「もう帰りたい」とおっしゃったので、「一緒に帰りましょう」と帰ってきた。 午後に徘徊する。昼食を食べたあとに、また食べたがった。

以上、ここで挙げたのは、記入内容のほんの一例です。
これ以外にも、介護サービスではさまざまな状況に直面することがありますので、随時適切な記載をする必要があります。

そこで次章では、具体的なケースに限らず、よりよいサービス実施記録を書くためのポイント、コツをお伝えしていきましょう。

5. よりよいサービス実施記録を作成するための8つのポイント

ここまで、サービス実施記録の具体的な内容と書き方について説明してきました。
が、さらにわかりやすくよい実施記録にするためのポイントがありますので、それを8点挙げておきましょう。

・よく観察する
・客観的な事実を書く
・5W1Hを意識する
・利用者の様子を具体的に書く
・根拠を書く
・ケアプランに沿って書く
・他の職員との情報共有を意識する
・ポジティブな視点を持つ

5-1. よく観察する

まず記録を書く前に、大前提として「利用者や状況をよく観察する」ことが重要です。

サービス実施記録は、「ヘルパーが何をしたか」だけを書くものではありません。
「利用者が何を望んで、何を感じ、何をして、何を言ったか」「利用者の状態はどうだったか」といったことを見極めて記録する必要があります。
そのためには、利用者と接している間はずっと、相手とそのまわりをよく観察しましょう。

具体的には、以下のようなポイントに目を配るといいでしょう。

【利用者の様子】
・全体的な雰囲気
・表情
・姿勢
・身振りや動作
・話し方
・服装や髪型   など

【まわりの状況】
・室内の様子、整理具合
・家族や他の人との関わり方、接し方
・介護に関わる設備や環境    など

よく観察することで、利用者が何をして欲しいと思っているか、どう感じているか、何か異変はないかなどに気づくことができ、記録として適切に他のスタッフに共有できるようになるでしょう。

5-2. 客観的な事実を書く

よく観察したら、その中から「客観的な事実だけを記載する」ことも重要です。

利用者と接していると、ヘルパーは「本当はこうして欲しいのかな?」「こういう行動をとるのは、もしかしてこんな理由があるのかも」など、いろいろと想像したり仮定したりすることがあるでしょう。
ですが、そのような不確定なことは、公的な文書であるサービス実施記録に書くべきではありません。
勝手な憶測を書けば、読んだ人はそれを「事実」だと受け取ってしまう恐れがあるからです。

そのため、自分が「見たまま」「聞いたまま」「行動したまま」のこと=客観的な事実のみを書くように心がけてください。

よい例 客観的な事実のみを書いている

 

「昼食後、テレビを見ていると◯◯さんが座ったまま何度かガクッと首を落とした(見たままの事実)顔を見ると、目が半開きだった(見たままの事実)ので、「お昼寝しますか?」とお声がけしたところ、「寝たい」とおっしゃった(聞いたままの事実)ので寝室まで誘導した。その後、1時間ほど昼寝した(実際に起きた事実)。」
悪い例 想像や憶測が混じっている 「今日の◯◯さんは、昨日夜更かしでもしたのか(想像による仮定)いつもより眠そう(自分の主観)だった。少し寝た方がいいと思った(根拠のない憶測)ので、「お昼寝しましょう」と言って寝かせた。」

5-3. 5W1Hを意識する

また、「5W1Hを意識して書く」のもポイントです。

「5W1H」は、「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(誰が)」「What(何を)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」の6つの要素を示す言葉で、情報を的確に伝えるためにはこれらが明示されることが重要です。
サービス実施記録にもこれを意識して書くことで、必要な情報を漏らさず記載することができるでしょう。

中でも「Who(誰が)」という主語は明確に書くようにしてください。
同じ行動でも、利用者がしたのかヘルパーがしたのか、あるいは家族や第三者がしたのかによって意味が変わってきてしまいます。
たとえば「洗髪をした」と書く場合には、「◯◯さん(=利用者)が洗髪をした」あるいは「スタッフが洗髪をした」など、主語を忘れないようにしましょう。

よい例 5W1Hがある 「昼食は何がいいですか?」とお聞きしたら、「魚がいい」とおっしゃった。冷蔵庫を見ると鮭があり、昨日の昼食は煮魚だったので(なぜ)、今日は焼き鮭(何を)にした。12時過ぎ(いつ)◯◯さんは(誰が)食卓で(どこで)召し上がり、ごはん軽く1杯とお味噌汁、ほうれん草のおひたし(何を)とともに完食(どのように)した。」
悪い例 5W1Hがない 「今日の昼食は魚。完食。」

5-4. 利用者の様子を具体的に書く

5W1Hと同時に、「利用者の様子を具体的に書く」のも必須です。

「入浴介助をしたところ、とても喜んでいた」と記載されても、具体的な状況や様子は見えてきません。
それよりも、数字や話した言葉などをまじえて「入浴介助で洗身・洗髪をした。手足は◯◯さん(=利用者)自身が洗うことができたが、腕が肩までしか上がらないため、それ以外の部分と洗髪はスタッフが行った。その後、いつもより長く5分ほど湯船に浸かり、『気持ちよかった、次もこうしてほしい』とおっしゃっていた」と書いたほうが、実際に何があったのかがよく伝わります。

特に、数字の記録は重要です。
トイレの回数や食事の量なども、「数回」「何度も」「少量」「たくさん」といったあいまいな表現は使わずに、「5時間で3回」「お茶碗に軽く1杯」などと書くようにしてください。

よい例 具体的 「◯◯さんは、レクリエーションでカラオケ(具体的な内容)に参加。『▲▲▲▲』『※※※※』(固有名詞)2曲(数字)を歌った。歌詞をあまり見ずに、大きな声で歌っていて、他の人が歌う間も手拍子をして(具体的な楽しみ方の様子)楽しんでいた。終わったあとに『気持ちよかった、また参加したい』と笑顔で(実際に言ったことや目に見えたこと)おっしゃった。」
悪い例 具体的でない 「◯◯さんは今日のレクに参加。楽しそうだった。」

5-5. 根拠を書く

また、ヘルパーが行なった介護やケアについては、「『なぜそうしようと考えたか、なぜそれを行なったか』という根拠を書く」ことも大切でしょう。

「入浴介助をし、背中を洗うことと洗髪をスタッフが行なった」とだけ書くと、読んだ人は「なぜ背中と髪だけ?」と疑問に感じたり、「全身洗ってあげればいいのに」と考えてしまうかもしれません。
そこで、「入浴では、◯◯さん(=利用者)自身が手足と身体の前部分を洗ったが、腕が肩より上に上がらないとのことで、背中と髪はスタッフが洗った」と書けば、「なぜそうしたのか」がよくわかります。

根拠が書かれていれば、それを見た他のスタッフが「自分のときもそうしよう」と参考にしたり、「こうすればもっとよいのではないか」といった検討もできるでしょう。

よい例 根拠がある 「◯◯さんは、落ち着きがなくなり部屋の中を行ったり来たりしはじめた。その後、玄関から外に出ようとする様子が見られたので(根拠)、『どこに行かれますか?』とお声がけしたところ、ぼーっと立ち止まったので、『お部屋に戻りましょう』と誘導して戻った。」
悪い例 根拠がない 「外に出ようとした◯◯さんを、誘導して部屋に戻した。」

5-6. ケアプランに沿って書く

さらに、「ケアプランに沿って書く」ことも忘れてはいけません。

「ケアプラン」とは、要支援・要介護認定を受けた人が介護サービスを利用するための計画書です。
その中には、利用者や家族の状況を踏まえた上で、「今後どのような生活をしていきたいか」「そのためにはどのような支援、サービスが必要か」などがまとめられています。
実際のサービスは、このケアプランをもとに行われます。

そのため、サービス実施記録を書く際にも、「ケアプランで定めた目標=今後どのような生活をしたいか」を意識して、「それに向けて、何をしたか」や「利用者はどのような状態か」などを書いていけばいいでしょう。
それにより、目標にどの程度近づいているか、何を改善すればいいかなどが見えてくるはずです。

5-7. 他の職員との情報共有を意識する

前述したように、サービス実施記録は他のスタッフや外部との情報共有の役割も担っています。
となると、「他のスタッフに必要な情報が伝わるように、わかりやすいように」と意識して書く必要もあるでしょう。

自分だけがわかっていればいいのではなく、他の人が読むと考えれば、読みやすいていねいな字で書くことは基本です。
また、「いつも通り」といった表現は、「いつも」を知らない人や意識していない人にとっては伝わらないので避け、誰にでもわかる表現を使ってください。

さらに、「これは今後の介護に役立つ」「他の人も知っておいたほうがいい」と思ったことがあれば、漏らさず書いておくといいでしょう。

5-8. ポジティブな視点を持つ

最後のポイントは、「ポジティブな視点を持つ」ことです。

介護サービスを、「利用者ができないことを介助するもの」と考えていると、利用者に対して「何ができないか」ばかりに注目しがちです。
そのような目線で見ていると、「Aはできるようになってきたけれど、Bはまだできない」と、ネガティブな捉え方に偏ってしまいます。
それでは利用者もヘルパーも、前向きに取り組むことはできないでしょう。

そこで反対に、「できること」に目を向けてみてください。
「Aはできるようになってきたけれど、Bはまだできない」ではなく、「Aがこんなにできるようになった、次はCもできそう」、「ひとりではできないが、介助があればBもできる」とポジティブに考えるのです。
この視点で記録をつけると、ヘルパー側も利用者側も前向きになることができ、よりよい介護サービスが実施できるようになるはずです。

6. サービス実施記録に関する法律・規定

さて、「1-1. 「サービス実施記録」とは?」で触れたように、介護サービスの記録を残すこととそれを2年間保存することは、厚生労働省の省令によって義務付けられています。
では、それは具体的にはどんな省令でしょうか?

単に「法律で決まっている義務だから」という知識だけでもサービス実施記録を運用することはできますが、何か問題が起きた際に、「どの法令で、どのように定められているのか」を知っていたほうが、適切な対応ができるでしょう。
そこでこの章では、その法令に関して簡単に理解しておきましょう。

サービス実施記録に関する規定には、以下のようなものがあります。
太字の部分が、サービス実施記録についての条文です。


指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年厚生省令第三十七号)
(記録の整備)
第三十九条 指定訪問介護事業者は、従業者、設備、備品及び会計に関する諸記録を整備しておかなければならない。
2 指定訪問介護事業者は、利用者に対する指定訪問介護の提供に関する次の各号に掲げる記録を整備し、その完結の日から二年間保存しなければならない
一 訪問介護計画
二 第十九条第二項に規定する提供した具体的なサービスの内容等の記録
三 第二十六条に規定する市町村への通知に係る記録
四 第三十六条第二項に規定する苦情の内容等の記録
五 第三十七条第二項に規定する事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録

指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年厚生省令第三十九号)
(記録の整備)第三十七条 指定介護老人福祉施設は、従業者、設備及び会計に関する諸記録を整備しておかなければならない。
2 指定介護老人福祉施設は、入所者に対する指定介護福祉施設サービスの提供に関する次の各号に掲げる記録を整備し、その完結の日から二年間保存しなければならない。
一 施設サービス計画
二 第八条第二項に規定する提供した具体的なサービスの内容等の記録
三 第十一条第五項に規定する身体的拘束等の態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由の記録
四 第二十条に規定する市町村への通知に係る記録
五 第三十三条第二項に規定する苦情の内容等の記録
六 第三十五条第三項に規定する事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録

特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成十一年厚生省令第四十六号)
(記録の整備)第九条 特別養護老人ホームは、設備、職員及び会計に関する諸記録を整備しておかなければならない。
2 特別養護老人ホームは、入所者の処遇の状況に関する次の各号に掲げる記録を整備し、その完結の日から二年間保存しなければならない。
一 入所者の処遇に関する計画
二 行った具体的な処遇の内容等の記録
三 第十五条第五項に規定する身体的拘束等の態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由の記録
四 第二十九条第二項に規定する苦情の内容等の記録
五 第三十一条第三項に規定する事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録

事業所やサービスの種類によって省令は異なりますが、いずれも「記録を整備し、その完結の日から二年間保存しなければならない」という点は共通しています。
これらの省令があるために、介護サービス事業者は、サービスを提供するごとにサービス実施記録をかならず残し、それを2年間保存しなければならないというわけです。

7. よくある質問

 

 

以上で、サービス実施記録に関して知っておくべきことをひと通り説明しました。
が、「まだ疑問がある」という方もいるかと思います。
そこで最後に、ここまでで説明しきれなかった「よくある質問」に答えていきましょう。

7-1. サービス実施記録は利用者側にも1部わたすべき?

サービス実施記録の書式は、市販のものが多種多様に出ていて、その多くは複写式です。

2枚複写のうち、1枚は事業所で2年間保存し、もう1枚は利用者側にわたしているという事業所も多いでしょう。
が、これはかならず利用者にもわたさなければいけないものなのでしょうか?

結論からいえば、サービス実施記録を利用者にかならずわたす義務は課せられていません。
前出の「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年厚生省令第三十七号)」には、以下のように定められています。


(サービスの提供の記録)
第十九条
2 指定訪問介護事業者は、指定訪問介護を提供した際には、提供した具体的なサービスの内容等を記録するとともに、利用者からの申出があった場合には、文書の交付その他適切な方法により、その情報を利用者に対して提供しなければならない

これによると、利用者から求められた場合には、記録を文書などでわたさなければなりません
が、求められない場合については特に規定されていないため、かならずしも利用者にわたさなくても問題ないのです。

ただ、事業所と利用者でサービスの利用状況を共有し、サービス内容などで齟齬が生じるのを防ぐためには、利用者にもサービス実施記録を1部持っていてもらうほうが安心だと言えるでしょう。

7-2. サービス実施記録を電子化することはできる?

近年、介護業界でもペーパーレス化が進み、これまで紙で作成、保存していた書類を電子化する事業所も増えているようです。
その流れに乗って、サービス実施記録も電子化することはできるでしょうか?

答えは「YES」です。
実際に、モバイル端末でサービス実施記録を作成できるアプリなども出ています。
「でも、電子化すると利用者からの押印がもらえないのでは?」と不安に感じる方もいるかと思いますが、前述したように、そもそもサービス実施記録には利用者の押印は必要ありません
あくまで事業者が確認のために利用者の印をもらっているだけですので、電子化の際には印がなくても問題ないのです。

サービス実施記録を電子化すれば、訪問介護などで利用者宅に訪れた時間と退出した時間を自動で記録することができるなど、書類作成の手間が軽減されますので、導入を検討してみるのもいいでしょう。

8. まとめ

いかがでしたか?
サービス実施記録について、知りたいことがわかったかと思います。
ではあらためて、記事の要点をまとめましょう。

◎「サービス実施記録」とは、介護サービスを提供する事業者が、「誰にいつどんなサービスを提供したか」や「そのときの利用者の様子、健康状態」などを記録するもの

◎なぜサービス実施記録が必要なのかといえば、
 ・スタッフ間や外部と情報を共有するため
 ・介護報酬を請求する際の根拠となるため
 ・介護サービスに関する知見を積み重ねるため

◎サービス実施記録の記載内容は、
 ①実施日時
 ②サービスの種類
 ③事前チェック
 ④身体介護
 ⑤生活・家事援助
 ⑥自立支援
 ⑦利用者について
 ⑧退室確認

◎サービス実施記録の記入手順は、
 1)利用者名、ヘルパー名を記入する
 2)サービス提供日時を記入する
 3)サービスの種類と内容を記入する
 4)その他項目を記入する
 5)利用者の押印をもらう

◎よりよいサービス実施記録作成を作成するための8つのポイントは、
 ・よく観察する
 ・客観的な事実を書く
 ・5W1Hを意識する
 ・利用者の様子を具体的に書く
 ・根拠を書く
 ・ケアプランに沿って書く
 ・他の職員との情報共有を意識する
 ・ポジティブな視点を持つ

以上を踏まえて、あなたがサービス実施記録を適切に書けるよう願っています。

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